【QuizKnock x デジタルスタンプラリー】 地方自治体とのコラボ事例から学ぶ!若者世代が重視する「体験」への意識とは?!
2022年夏に熊本県球磨郡錦町において、一般社団法人錦まち観光協会(会長・森本完一錦町長)主催のデジタルスタンプラリーイベント「\QuizKnockからの招待状/時をかけるクイズ旅 in 熊本県・錦町」が開催されました。
錦町を含む、熊本県人吉球磨(ひとよしくま)地域においては、コロナ禍の影響に加え、令和2年7月の熊本豪雨災害による被災もありましたが、観光業の低迷から復興へ向け、地域外からの来訪者数増加を目的に企画・実施しました。
それではこの企画による、地域への誘客や実際の経済効果はどうだったのでしょうか。今回のコラボレーション事例から、地方自治体がターゲットにしたい若者世代の消費活動への動機についても述べたいと思います。
目次
QuizKnockとは?クイズで参加者満足度向上へ
QuizKnockはクイズ王の伊沢拓司さんが率いる東大発の知識集団です。「楽しいから始まる学び」を提供し、YouTubeチャンネル登録者数はメインチャンネル・サブチャンネル4つを全てあわせて300万人超えと、発信力の高さ、メディアへの取り上げ事例も多く、地域の認知度向上・ブランド力強化といった効果が期待されます。
チャンネル登録者の層としては18~34歳という若年層が60%以上を占めております。
イベントのメイン会場となる「人吉海軍航空基地(山の中の海軍のまち にしき ひみつ基地ミュージアム)」は、地域観光の拠点として2018年にオープンし、平和学習を目的とした教育旅行を主なターゲットに据え、観光誘客を進めておりました。特にQuizKnockの持つ「若年層のファン」へ向けて、平和を学ぶ機会の創出を狙い、今回のクイズラリー企画をいたしました。
イベント後に行った300名近くからの自由記述での感想を分析すると「楽しい」「よい」「知る・知れる」「きっかけ・機会」「できる・出来る」「勉強・学ぶ」といったキーワードが抽出され、参加者の満足度向上に寄与した結果が如実に現れています。
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それでは、今回ターゲットとした若者世代はどのようなモチベーションが働いたときに「消費行動」に移すのでしょうか。
若年層が重視する「イベント」や「体験」への意識
消費者庁が公表した報告によると、10代後半~20代の若年層は他の年齢層よりも「その時・その場でしか得られない体験をしたい」ということを重視していることが分かりました。
また現在意識的にお金をかけているものを聞いたところ、「参加型のイベント」と回答した人の割合は全体(10代後半~70歳以上)の6.6%に対して、10代後半~20代は16%以上、「有名人やキャラクター等を応援する活動」は全体の6.6%に対して10代後半は32.9%、20代は22.2%と、若者に特徴的な消費行動であるといえます。
一方で「旅行」に意識的にお金をかけている回答者の傾向は、全体も10代後半~20代の若年層も割合としては大きく変わらず、これは観光産業にとって注目すべき点だと考えられます。
「モノ消費」・「コト消費」から「トキ消費」へ
モノ(商品)を購入し所有する消費形態は「モノ消費」、旅行、習い事、芸術鑑賞等の機会やサービスを消費する形態は、「コト消費」といわれています。
「コト消費」という単語は2000年代後半から言葉が使われ始めました。「モノ消費」が「商品・サービスの機能に価値を感じて消費すること」に対して、「コト消費」は「商品・サービスによって得られる経験に価値を感じて消費すること」と言えます。
最近では「その時間・その場所」でしか体験できないイベント等で、自らも参加者として盛り上がりに寄与し一体感を得る消費形態を「トキ消費」といわれています。
SNSが発達したことで、多くの人が「コト消費」で体験したことをSNSで共有することが日常になり、自分自身が体験していなくても、SNSを通じて体験しているかのようになったと言われています。
そのため、近年の若年層の消費活動は『この日・この時間・この場所で、リアルに自分が体験すること』に意義を持つようになったと言われています。
QuizKnock×地方自治体のコラボ!熊本県錦町の事例から学ぶ
熊本県錦町とは・・・?
熊本県の南部で九州の山々に囲まれた人吉盆地に位置する「人吉球磨(ひとよしくま)地域」。錦町はこの人吉球磨地域にある10市町村の中の、人口約1万人程の町です。
熊本県内だけでなく北は北海道から南は沖縄まで、多くの人がこの小さな町に訪れるきっかけになったのが錦まち観光協会主催のデジタルスタンプラリーイベント「\QuizKnockからの招待状/時をかけるクイズ旅 in 熊本県・錦町」です。
2022年の夏は、新型コロナウイルスの第7波の影響はありましたが、久しぶりに行動制限のない夏休み。熊本県内のみならず、熊本県外からの参加者も約半数と、多くの方がこのイベントへの参加のために錦町に来訪しました。
以下は、デジタルスタンプラリーサービス”mawaru for LINE”の初回アンケート機能を活用した居住地アンケートの結果となります。
ボリュームでいうと、熊本市内からの来訪者が最も多く、次いで人吉球磨地域内10市町村の居住者、そしてお隣の鹿児島県や九州内の福岡県の参加者が目立ちました。
熊本市内から錦町までは高速道路を利用し約1時間半、鹿児島市内からも約1時間半ほどの位置にあります。福岡県中心部からは新幹線+レンタカー利用で片道約2時間半ほど所要し、日帰りで往復するには少し遠い場所にあります。それ以外にも飛行機利用が必須となる、関東や関西からの参加者も一定数いることが見て取れます。
特に今回20代は、人吉球磨地域外からの参加者が約85%という結果が出ており、移動に1時間半以上かかる地域からの参加者が多いことが分かります。
世代として「旅行に意識的にお金をかけている」割合が低くても、このように企画の内容次第では、遠方からの参加も促すことができるのです。
10代~20代の若年層参加者が突出!?
実はこれまでに弊社で実施した自家用車の利用が必須となる地域でのデジタルスタンプラリーでは50代の参加が最も高く、次いで40代の割合が高いという結果が出ています。若年層の参加者は少なく、10代の参加者はほぼいないという結果が出ていました。
それでは今回の参加者の年齢分布結果はどうだったでしょうか。以下のような結果が出ています。
40代の参加が最も高いものの、「子連れ家族」の割合が4割を占めており、20歳以下のお子さんと一緒にイベントに参加した40代が多いことが分かります。また40代に次いで、20代の参加が多いことは特筆すべき特徴と言えます。さらにデジタルスタンプラリーというスマホ所持が前提となるイベントであっても10代の参加が多く、さらに10歳以下の参加もあることが分かります。
おでかけウォッチャーの持つ人流データより、本イベントのメイン会場となる「ひみつ基地ミュージアム」への過去の来訪者属性をみると、2021年では男性40代~60代・女性50代が多く、若年層の割合が低い結果が出ていたにも関わらず、今回これまでの客層と逆転現象が起きたことがデータからみてとれます。
入館者数も約3倍に!さらに滞在時間向上にも寄与!
今回メイン会場となった「にしき ひみつ基地ミュージアム」のフィールドミュージアムの特性を活かし、ひみつ基地ミュージアムへの入館とオプションツアーの参加が必須となるイベント設計をしました。結果としてイベント期間の入館者数が前年比約3倍になるといった、経済効果も生まれています。
また地域外からの参加者町内でのスポットへの初回チェックイン・最終チェックイン時刻を見ると、町内の滞在平均6時間以上、最大21時間という結果も見られ、立寄っただけではなく、周遊という設計にすることで滞在時間の向上にも効果が見られたことが分かりました。
まとめ
ターゲットとしたい年代の「トキ消費」という消費行動と知的好奇心を満たす企画を開催することで、地域の認知、また実際に誘客と周遊を促し、参加者の地域理解・満足度の向上に寄与することが分かりました。
そして事後アンケートを見ると、「他の地域でも開催してほしい」「第二弾も待っています」というリクエストが多く見られました。
あなたの地域でもデジタルスタンプラリーサービスとQuizKnockを掛け合わせ、地域への誘客を目的としたイベントを開催してみませんか?
2022年11月23日からは「\QuizKnockからの招待状 第2弾/時をかけるクイズ旅 in 熊本県人吉球磨」として、広域で”mawaru for LINE”を活用したクイズラリーを開催します!!ご参加ください!