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【活用事例】BRT×デジタルスタンプラリー|データが示した“選ばれる動線”と参加者行動の変化

気仙沼線・大船渡線BRTデジタルスタンプラリー

BRT沿線には、駅や道の駅、観光施設、震災伝承施設など、地域の魅力を伝えるスポットが数多く点在しています。

一方で、それらが
「どの順番で巡られているのか」「移動と観光がどこで結びついているのか」
といった実態は、これまで十分に可視化されていませんでした。

こうした背景のもと実施されたのが、気仙沼線・大船渡線BRTデジタルスタンプラリーです。

本記事では、2024年度に続き、2025年度も継続実施された本取り組みについて、実施の考え方から数値成果、そして次年度につながる示唆までをご紹介します。

BRTという交通を、観光の視点で捉え直す

本事業の舞台となったBRT(Bus Rapid Transit)は、鉄道に近い定時性を持ちながら、バスならではの柔軟な停留所設計ができる公共交通です。

この特性を活かせば、

  • 途中で降りる
  • 周辺を歩く
  • 次の目的地へ向かう

といった行動を前提にした、「巡りながら楽しむ移動」を設計することができます。

本取り組みでは、BRTを単なる移動手段としてではなく、観光体験をつなぐ“動線そのもの”として捉え直すことを出発点としました。

施策概要|参加しやすく、行動がデータとして残る設計

デジタルスタンプラリーの仕組みは、非常にシンプルです。

  • LINE公式アカウントを友だち追加
  • スポットでQRコードを読み取り、スタンプを獲得
  • スタンプ数に応じて特典に応募

参加のハードルを下げつつ、
裏側では

  • 初回スタンプはどこで獲得されたか
  • どの順番でスポットを巡ったか
  • どこで行動が止まりやすいか

といった 回遊行動のデータを自然に取得できる設計になっています。

「実施して終わり」ではなく、次年度につなげるための材料が蓄積されることが、本施策の大きな特徴です。

数値で見る今回の取り組みの成果

LINE友だち数・参加者数の推移

参加者数と接点の積み上がり

2025年度のスタンプラリー参加者数は 416名
前年(2024年度:364名)を上回り、2年目も参加規模を維持・拡大することができました。

また、LINE友だち増加数は、開始前(572名)から終了時(1,078名)で+506名
これは、イベント参加者が増えただけでなく、今後も情報を届けられる「地域側の接点」が着実に積み上がったことを意味します。

参加者属性から見える広がり

参加者は40〜50代を中心に、男女比はほぼ均等。
居住地を見ると、宮城県・岩手県内が約6割を占める一方で、関東圏など県外からの参加も約3割確認されました。

地元住民と来訪者の双方が参加している点は、BRT沿線を特定の層だけに向けた施策に留めなかった結果と言えます。

回遊データが示した「選ばれる動線」

スタンプ取得データを分析すると、参加者の行動にはいくつかの特徴的な周遊パターンが見えてきました。

たとえば、

  • 奇跡の一本松駅 → 東日本大震災津波伝承館
  • 盛駅 → おおふなぽーと
  • 気仙沼「海の市」を中心とした回遊

といったルートは、距離・テーマ・アクセス性のバランスが良く、繰り返し選ばれていることが分かります。
これは、想定していた観光動線と、実際の行動が一致していたことを示す非常に重要な示唆です。

観光施策から、公共交通の利用へ

当選者アンケートでは、

  • 今回のスタンプラリーをきっかけに初めてBRTを利用したという回答
  • 今後もBRTを利用したいという回答

が一定数確認されました。

観光施策を通じて、

  • これまで乗る機会がなかった人がBRTに乗る
  • 移動そのものを「観光の一部」として捉える

という意識の変化が生まれた点は、交通施策としても大きな成果です。

データから見えた「3個目」の重要性

スタンプ獲得個数別 参加者数(2025年度)

スタンプ獲得個数の分布を分析すると、参加者の行動には明確な分かれ目があることが分かります。
1〜2個でスタンプ取得が止まる参加者が一定数存在する一方で、3個以上スタンプを獲得した参加者は、その後も周遊を続け、最終的に特典応募まで進む傾向が顕著に見られました。

実際に、「スタンプを3個以上獲得した参加者の特典応募率は82%」と高く、
「とりあえず参加してみた」段階から、「目的を持って巡る」行動へと移行していることが読み取れます。

このことから、本スタンプラリーにおいては、3個目のスタンプ取得が参加者の行動を大きく変える“転換点”になっていると考えられます。

単に参加者数や応募数を見るだけでは見えにくいものの、スタンプ取得数という行動データを可視化することで、「どこまで導ければ周遊につながるのか」という、施策設計上の重要なポイントが明確になりました。

継続参加だからこそ見えてきた示唆

本事業は、2024年度に続き、2025年度も継続して実施されました。
その結果、参加者の行動そのものにも、少しずつ変化が見られるようになっています。

具体的には、継続参加者層では、スタンプ2個以下で終了するケースが比較的少なく、スタンプラリーの仕組みや楽しみ方を理解したうえで参加している傾向が見られました。
初回のスタンプ取得で終わる参加にとどまらず、最初から複数のスポットを巡る前提で行動していると考えられる動きも確認されています。

単年度で実施した場合、スタンプラリーは「その場限りのイベント」として受け取られがちです。
一方、継続して実施することで、「回ることが前提の取り組み」として認知され始め、参加者側の参加の仕方そのものが徐々に変化してきていると考えられます。

こうした変化は、単年度の数値だけでは捉えにくく、継続実施して初めて見えてくる示唆です。
スタンプラリーを一過性の施策で終わらせず、回遊行動を育てていくためには、このような時間軸での変化を捉えながら改善を重ねていくことが重要になります。

次年度に向けて|スタンプラリーを“育てる”

今回の分析からは、

  • 初回スタンプ獲得直後のナビゲーション
  • 人気ルートを活かしたテーマ別周遊
  • 「まずは少し集めてみる」小さな目標設定

といった方向性が整理されました。

デジタルスタンプラリーは、実施を重ねるほど精度が上がっていく施策です。
2年連続で取り組んだからこそ、「次に何を足せば、より効果が高まるか」を具体的に描ける段階に入ったと言えます。

まとめ|BRT沿線施策の“土台”として

気仙沼線・大船渡線BRTスタンプラリーは、

  • BRT沿線を一体の観光動線として捉え直し
  • 回遊行動をデータとして可視化し
  • 次年度につながる知見を蓄積した

継続型の観光・交通連携施策です。

初年度の取り組みで得られた手応えを土台に、2年連続で実施したことで、単年度では見えにくかった参加者の行動傾向や回遊の特徴を、より立体的に捉えられるようになりました。

スタンプラリーを一過性の集客施策に終わらせず、地域内の動きや選ばれる動線を把握し、次につながる改善へ活かしていく。
本事例は、そのための「土台づくり」としての可能性を示しています。


 

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